会議の議事録は、地味に重いコストだった。
手入力時代の問題
以前はMacのメモアプリを使っていた。会議中にとにかく入力して、後から校正する。慣れてくると少し工夫して、先に項目(単元)だけ書き出して、後から該当箇所を埋める形にした。それでも時間がかかる。
本質的な問題は別にあった。議事録担当者を置くコストが高いことだ。
誰かが書かないといけない。でもコアメンバーをそこに回すと、会議の中身に集中できなくなる。そうかといって、ノンコアのメンバーに任せると聞き漏らしのリスクが出る。重要な論点が抜けたり、決定事項の粒度がバラバラになったりする。
「議事録の品質を上げたい」と「コアメンバーを会議に集中させたい」が両立しなかった。
Notetakerを入れた
AIノートテイカーツール「Notetaker」を導入した。会議を録画して、自動で文字起こし・要約まで行う。
正直、最初は「どうせ使えない要約が出てくるだろう」と思っていた。
違った。意図通りの出力に感動した。
決定事項・アクションアイテム・未解決課題の粒度で出てくる。手入力で後から校正していたものが、会議が終わるとほぼ完成した状態になっている。
何が変わったか
後輩が使っても品質が変わらない
一番の変化はここだ。
手入力時代は、書く人の経験と文章力で品質がばらついた。コアメンバーが書けば抜けが少ない。後輩が書けば粒度が粗い。
Notetakerはそのばらつきをなくした。誰が会議に出ても、出てくる議事録の品質が同じになった。後輩が担当する会議でも、聞き漏らしのリスクなく任せられる。「この会議は後輩でOK」という判断ができるようになった。
コアメンバーが会議に集中できる
議事録を書く必要がなくなったことで、会議中に考えることだけに集中できる。
メモを取る手が止まった分、発言と発言の間の文脈を拾えるようになった。「今何が決まっていて、何がまだ決まっていないか」をリアルタイムで整理しながら議論に参加できる。
手入力時代と比べて便利さが勝ちすぎている
困っていることが今はない、というのが正直なところだ。導入前の手入力時代と比べると、便利さが圧倒的に勝っている。議事録に使っていた時間が別のことに使えるようになった。
医療系での使い方の注意点
ただし、AIの出力をそのまま保存して終わりにはしていない。
医療系の会議では、「いつ・何が決まったか」をあとから証明しなければならない場面がある。監査対応や規制上の記録として使うこともある。AIが「全員が合意した事項」と「誰かが提案した事項」を混同することがある。議事録の致命的な誤りは、決定していないことが決定事項として記録されることだ。
だから出力を受け取ったあとに、一度確認してから保存するというステップは変えていない。自動化できる部分は自動化して、確認という判断だけを人間が持つ。それが今の運用だ。
ツールに乗っかりながら賢く使う
「全部自前で作る」より「あるツールをうまく使う」方が現実的なことが多い。
Notetakerはその典型だった。手入力の工夫(先に項目を書いて後から埋める)で対処しようとしていたことが、ツール1つで解決した。工数が減っただけでなく、品質が均一化して後輩への委譲まで可能になった。
AIとの付き合い方は「使いこなす」だと思っている。出力を受け取るだけじゃなく、どう運用に組み込むかを設計する。確認が必要な箇所は確認する。それだけで、手入力時代には戻れないくらい仕事のやり方が変わった。
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